中国のアキレス腱と重慶に進出する日本企業


薄煕来

昨年から今年にかけて中国で大問題になった薄煕来とその妻、谷開来のイギリス人殺害、そしてそれを隠そうとした元重慶公安局長(のちに重慶市副市長)の王立軍に関しての事件です。


http://www.youtube.com/watch?v=Iyiw6wxDGx0

日本でもかの池上彰氏のTV番組が知られざる中国の真実を紹介しているかのように見えます。
http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20120514/
しかし新唐人TVの薄煕来、王立軍の事件報道と池上氏の報道の内容を見比べてみると、わずかに違うのが分かります。
わずか、と書きましたがその内容とは、中国人の実態を知る上で非常に重要なポイントで、それが池上氏の(少なくとも)番組解説では全く語られていないのです。


http://www.youtube.com/watch?v=l07tKgoC_-I

それは薄煕来が行ったとされる法輪功の学習者への弾圧、彼らからの臓器摘出、売買などの問題です。
欧米のメディアでもこの事件は取り上げられていますし、法輪功弾圧に関して多くの国から提訴されているという情報がすっぽり抜け落ちています。

日本の報道を見ると、「マフィアの摘発を成功させて野望を成し遂げようとしたが、あえなく失脚した中国の実力者」という程度にしか見えません。あげくの果てには「反日」は「実日」に変わっていくであろうと「未来予測」しています。中国ははなから「実日」でしょうに。
それより実のところは...です。
重慶での事業展開のため日本企業が懇意にしていた政治家が、実は国民を弾圧し、生きた人間から摘出した臓器を売買していたような人物だったとわかり、日本のTV局も企業もこの上なく都合が悪いはずです。

次の動画でノンフィクション作家の河添恵子氏が薄煕来の周辺その他、中国での大企業日本人幹部の少し前の姿などを語ってくださっています。


http://www.youtube.com/watch?v=Qi6OuuVIt40

どうでしょうか。

昨年の中国全土での反日デモを受けて日本企業が撤退し始めたとの報道もされてきました。
ですが重慶は2012年の経済成長率が13.6%にもなった、中国国内で最高位の都市で(以前は四川省の一部だったそうです)、省と同格の一級行政区画である直轄市があり日本企業の進出が進んでいます。
一般市民が「日本企業が中国撤退?よっしゃよっしゃ!」と喜んでも重慶でのビジネス展開を計画する側にしてみれば、そんなことはどうでも良い話なのでしょう。

少し譲って日本企業が中国で頑張ったとしてもです、そのおかげで日本中に手軽な価格で高い品質の物や安全な食品が溢れかえったでしょうか。
日本の中小企業がますます発展したでしょうか。

河添氏のお話は以前の日本企業の実態ですが、今年に入ってからのニュースで重慶市への日本企業進出が現在進行形であることがうかがえます。
日経プレスリリース http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=329515&lindID=2 より
2月1日の発表です。

三井物産、中国重慶市でビジネスパークの計画策定と企業誘致・土地斡旋事業に参画

中国重慶市でビジネスパークの計画策定と企業誘致・土地斡旋事業に参画


 三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:飯島彰己、以下「三井物産」)は、日揮株式会社(以下「日揮」)および中国重慶市の重慶両江新区開発投資集団有限公司(以下「両江新区開発投資社」)と合弁会社を設立することに合意し、2013年2月1日に合弁会社設立に関する当局の許認可を取得しました。本合弁会社は、重慶両江新区で開発が進められるビジネスパーク「御臨(ぎょりん)産業園」(以下「本ビジネスパーク」)の街区のマスタープラン策定および本ビジネスパークへの企業投資誘致・土地斡旋事業(以下「本事業」)を行うもので、出資比率は両江新区開発投資社50%、三井物産25%、日揮25%となる予定です。

 本事業は、中国内陸部のビジネスパーク開発において、独占企業誘致権を得て用地選定やマスタープラン作りの段階から日本企業が参画する初めてのケースとなります。
 三井物産は、日揮と共に本合弁会社を通じて重慶市と連携を図りながら、本ビジネスパークのマスタープランを策定し、従来の工業団地の枠を超え、環境保全や省エネルギー化にも配慮した総合的な都市造りを目指します。

 重慶両江新区は、2010年に中国内陸部最大の都市の重慶市に新設された行政区で、国家レベルの開発地区としては上海浦東新区、天津濱海新区に続き三番目に開発された地区として、内陸部の経済成長を牽引しています。

 本ビジネスパークの予定地は、重慶両江新区の東部に位置し、中国沿海部から西部各地を結ぶ幹線道路網にもアクセスが良く、周辺では空港連絡道、鉄道、河川港等のインフラ整備が急ピッチで進められています。本ビジネスパークの敷地面積は3.2平方キロメートルで、用途別の内訳は工業用地約65%、事務所・研究施設等用地約20%、住宅・商業施設用地約15%を予定しています。

 三井物産は、アジアにおける産業施設開発を不動産事業の重点領域の一つとしており、日本やシンガポールでオフィスビルや物流施設の開発、REIT運営を手掛けています。日本企業の中国内陸部への進出ニーズの高まりを受け、本ビジネスパークをプラットフォームとした都市開発、インフラ、物流、サービス等の事業創出に取り組むことで、重慶市との関係を強化すると共に、今後も幅広く中国内陸部の成長の取り込みを図っていきます。

重慶両江新区御臨産業園 所在地


関連資料/リリースの詳細(PDF) より

また、物流業界の情報Logistics Today http://www.scworld.biz/logi-today/?s=%E9%87%8D%E6%85%B6&x=0&y=0 にもずらりと重慶関連の情報があり、最近の4社が以下の通りです。

http://www.scworld.biz/logi-today/?p=63224 2013/3/18
http://www.scworld.biz/logi-today/?p=59317 2013/1/15
http://www.scworld.biz/logi-today/?p=58304 2013/1/9
http://www.scworld.biz/logi-today/?p=57967 2012/12/26

この他のニュースで見かけただけでも、三井物産とセブンイレブン・ジャパン合同のフランチャイズ展開、中国ヤクルトの支店開設などがあります。
これらの企業に中国から遠ざかる道は無いのでしょうから、少しは考える良い機会になるのではないかと思うブログ記事をリンクしておきます。尖閣ケースを考えるの最後の「■基本事項:国外に日本の主権は及ばない」。ここを強調します。

また、ここで始めの薄煕来の件に戻りますが、これを「中国のアキレス腱」とした、坂東 忠信氏の記事で締めくくります。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bandoutadanobu/20130613-00025665/ 2013年6月13日 より

中国のアキレス腱・王立軍亡命未遂事件


みなさん、こんにちは。

中国にはいろいろな政治的な事件もありますから、皆さんももうお忘れかもしれませんが、中国ではいまだに薄煕来に関する政権転覆未遂事件が取沙汰されています。

この事件、日本ではあまり大きく報道されていませんが、日本未報道の中国語ニュースを見てみると、一党独裁政権下にある中国人民にとっては、それがいかにインパクトのある重大事件だったかがわかります。

しかしこの政治問題に関心が高まると、民意が力を持ち反政府勢力として実体化し、政府を転覆したりするわけですから、共産党もこうした情報の操作、隠蔽、公開時期などにはとても気を使っています。

逆に言うと、国営の新華社や人民日報、環球時報、中国網などの政府共産党系メディアが触れない内容にこそ真実があり、逆にこれらのメディアが広報することこそが、中国共産党の望む未来の提案であり、情報操作したいあるべき民意なのです。

そして日本に伝わるのは、残念ながらこれら政府共産党系メディアが公式に報じた内容ばかり。

そこで今日は、いまだに中国の政局の話題をさらう、薄煕来に関するこの事件を、反政府系の中華メディアの報道から私なりにわかりやすくまとめてお伝えします。

難しいことはありません。むしろ映画のストーリーになりそうな展開なのですよ。

昨年2月6日に重慶副市長の王立軍が、中国共産党の仮想敵国でもあるアメリカ領事館に逃げ込むという事件が発生しました。

本来は重慶公安局(警察署)局長であった王立軍は、元大連市長で共産党重慶市書記長の薄煕来を後ろ盾とし、地元マフィアに対する強硬手段で徹底検挙・粛清を推進していました。

その警察活動のなかで、親分の薄煕来の妻で以前は大連市で弁護士だった谷開来と、この夫婦の経済面や息子の薄瓜瓜の教育面に深くかかわるイギリス人実業家ニール・ヘイウッドが男女関係を持った上に、谷開来がヘイウッドを毒殺した事実を突き止めたのです。

それを知った薄煕来は、事が自分に及ぶのを恐れて、この捜査を始めてしまった王立軍を公安局長の座から左遷、重慶市副市長の座に追いやったのですが、手下となる警察組織を失った王立軍は、それまでの高圧的な治安維持が祟って、これまで徹底迫害していた地元マフィアや地元住民から、命を狙われる危険を抱えてしまい、追い詰められます。

そこで王立軍は、女装したうえで自ら車を運転し、重慶市にあるアメリカ領事館に駆け込んで亡命を願ったのです。

但し、王立軍は手ぶらで亡命を受け入れてもらうほどバカではありません。

それまで薄煕来の片腕として知り得た数々の悪行を手土産にアメリカに接近し、身柄の安全確保を願ったのです。

ところが彼の手土産は、あまりに重大過ぎました。

彼の暴露を恐れた薄煕来は、人脈を駆使して地元公安局に身柄の確保を命じ、その身柄を江沢民派につながる解放軍参謀部(軍内の情報機関)に移送するつもりだったらしいのですが、以前から薄煕来の動きに不信を感じ情報を集めていた国務院総理の温家宝は、その下部情報機関の国家安全部(こちらは参謀部とは系統の異なる情報機関)に、王立軍の身柄の確保を命じました。

なぜなら、王立軍の奪回を目指す薄煕来の後ろ盾となっているのは、江沢民派の大物で、胡錦濤や温家宝の政敵である周永康だったからです。

政敵をつぶす揚げ足取りには最適の材料でしたが、敵に回すにはあまりにでかい存在でもありました。

アメリカ領事館側はホワイトハウスと連絡を取り、当初王立軍の亡命を受け入れるかどうかを検討したそうですが、王立軍の持ち込んだ情報があまりにでか過ぎたため、次期国家主席と目されていた習近平が、江沢民にかわいがられた太子党のトップであることや、当時国家主席の胡錦濤との関係を考慮して、王立軍の受け入れを拒否。

王立軍はとぼとぼと領事館を出てきたところ、薄煕来配下の公安局より先に、温家宝の国家安全部が彼の身柄を確保し、北京に直送。

国家安全部がその身柄を拘束し、取り調べた結果、王立軍からアメリカ側に重大な情報がもたらされていたことが分かったのです。

それこそが、日本ではまだ報道されていない中国のアキレス腱。

先日、その核心に当たる部分が、明らかにされました。

・・・と言うわけで、この続きはまた次回に。

坂東 忠信

外国人犯罪対策講師。 全国防犯啓蒙推進機構理事

宮城県出身。警視庁巡査を拝命後、交番勤務員、機動隊員、さらに刑事から通訳捜査官となり、在日中国人犯罪者・関係者の取調べにあたる。平成15年、勤続18年で退職後、県警部外通訳を経て、在日中国人犯罪の実態を描いた「通訳捜査官」で作家デビュー、現場体験と語学と情報人脈を活かし、これまでに6冊の中国問題関連本を発表。ブログやメルマガ、講演で、犯罪発生率の高い反日外国人の脅威と日本の課題を訴えている。