サウジアラビアで日本の技術「海水淡水化膜」が活躍


中東で日本製の民族衣装の生地が大人気だそうです。
これは昨年12月にアップしたもので 中東カンドゥーラの日本製生地を南鮮などがコピー→品質の違いで見破られる - 天晴!にっぽん

ここで掲載した産経記事によると、
現在、中東諸国で消費されている日本製のトーブ(民族衣装の生地)は約40〜45%で、
そのうち、高級品とされる消費量のほぼ100%が日本製
なのだそうです。ありがたいことです。

今回はその繊維技術で海水から真水をつくる、日本の凄技の記事です。

msn産経ニュース west
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140810/wec14081018000004-n1.htmより

中東で圧倒的な評価を受ける東洋紡「海水を真水にする膜」技術…繊維技術生かした「海水淡水化膜」、サウジでシェア85パーセントの強さ
2014.8.10 【ビジネスの裏側】

海水を濾過して真水にする東洋紡の「膜」の存在感が中東で際立っている。塩類は通さず、水の分子だけを通す特殊な構造のため海水淡水化施設に使われているが、塩分濃度が高く、微生物が多くて膜も目詰まりしやすい中東の海水に対応して洗浄が簡単なのが人気の理由だ。シェアは中東全体で5割に上り、とくにサウジアラビアでは85%と圧倒的。100億円程度(同社推定)の中東市場は今後5年で倍増が見込まれ、同社は旺盛な需要の取り込みを進める。(中山玲子)


繊維会社の技術

 「繊維会社だからこそ、誰にも真似できない膜を作ることがきでた」

 東洋紡アクア膜事業部長兼機能膜事業開発部の藤原信也部長は、こう胸を張る。

 雨や地下水に乏しい中東では水の確保は切実な問題だ。海水に3・5%程度含まれている塩分を「淡水化施設」で0・05%以下に下げて生活用水として利用している。淡水化は、海水を加熱して蒸気を取り出す「蒸発法」と、水の分子は通るが、水に溶けた塩類は通さない特殊な膜を使う手法が代表的。東洋紡は、早くから「脱繊維」の取り組みとして海水を通して真水にする膜の開発に乗り出した先駆者だ。

 膜は、水の分子は通ることはできても、水に溶けた塩類は通過できない0・1ナノメートル(ナノは10億分の1)程度の極微細な穴が無数に空いている。東洋紡は昭和54(1979)年、中が空洞になった大量の糸を織り重ねた「中空糸型」と呼ばれる海水淡水化膜の開発に成功。その膜を円柱状にして塩水を通す仕組みの装置を完成させた。

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東洋紡の海水淡水化膜。ひとつの円柱に約150万本の中空糸が使用される

1つの円柱に150万本の糸を織り込む高度な技術力があって初めて成し遂げた開発で、東洋紡は「断面は緻密に編まれた層と粗めの層の二重構造で、繊維事業で培った技術で目詰まりが少ない高品質の膜をつくることができた」と説明する。

一方、糸を材料とする中空糸膜の開発は、化学メーカーの米デュポンが素材をうまく生かせずに断念。米ダウケミカルも塩分濃度の高い地下水の淡水化は可能だったが、海水では十分な結果を出すことができなかったという。


海水の相性

 それではなぜ、中東での受注が相次いだのか。

 理由は「塩分が高く、微生物が増殖しやすい中東の海水に非常によくあった」(藤原部長)ということが大きい。

 東洋紡は、膜の素材に塩素への耐久性が強いセルローストリアセテートを採用しており、ポリアミドと呼ばれる塩素に弱い素材を使っている他社製とは一線を画している。

 中東の海は塩分濃度が濃いうえ、微生物も多いことから微生物が膜に詰まりして繁殖しやすい。当然、真水の出が悪くなることが多く、場合によっては膜が破損することもある。

 このため、中東では膜の洗浄がどれだけ簡単かが重視され、洗浄剤として一般的な塩素への耐久性が強い素材であることが評価された。逆に、他社製の膜は塩素より高価な酵素を使った洗浄に頼らざるをえず、洗浄に時間がかかるのもネックとなっている。

 取水率の高さも普及の背景にある。東洋紡が海水淡水化膜を開発した当時、中東では海水を化石燃料で加熱する「蒸発法」が主流。膨大な化石燃料を使用するにもかかわらず、取水率はわずか十数%だった。

 東洋紡は膜の開発直後から、サウジアラビアで実証実験を開始。最初、現地関係者は半信半疑だったが、50~60%の取水率があることを実証するとすぐに受注が相次いだ。

 2012年には東洋紡の膜が中東でつくりだした真水は160万トン(640万人分の1日の使用量)に上り、10年前の約6倍にまで伸びている。


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東洋紡の膜が用いられた海水淡水化プラント=サウジアラビアの都市ラービク

有望市場に売り込め

 中東では人口増加が続いており、海水淡水化膜市場も拡大が期待できる。サウジアラビアでは、この人口が30年間で3倍の約3千万人に増加。中東協力センターによると、2011年時点で人口の約半分が19歳以下になり、今後も人口増が見込まれる。

 石油産出国でもある中東諸国はこれまで贅沢にエネルギーを消費してきたが、人口増に伴い省エネ意識が高まっている。海水淡水化事業もエネルギーを多く消費する蒸発法から、膜を使った施設への転換が進みつつある。

 さらに、東洋紡は中東ではクウェートやアラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどへの売り込みを強化する。サウジアラビアと同様に、淡水化に使う海水を周りを陸で囲まれたペルシャ湾から取る環境は変わらないため、海水淡水化膜の技術さえ理解されれば普及は進むとみている。

 東洋紡は「海水の特徴が似ている中東全体や北アフリカでも、さらにシェアを伸ばしたい」と意気込んでいる。


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この記事中で、
「糸を材料とする中空糸膜の開発は、化学メーカーの米デュポンが素材をうまく生かせずに断念。米ダウケミカルも塩分濃度の高い地下水の淡水化は可能だったが、海水では十分な結果を出すことができなかったという。」
と、サラリと触れられていますが、ちょっと驚きました。
今日取り上げた話題の趣旨から離れてしまうので、
「米デュポン、ダウ・ケミカルといえば、ベトナム戦争、枯れ葉剤のキーワードを足して検索GO!」
とだけ書いておきましょう。

それにしても日本の技術が世界の色々な場所で役に立っていることを知るのは嬉しいもので、また次に何か発見するのが楽しみになってきました。